食わず嫌い

三島の対談集。立ち読みしたらかなり面白かったので購入。
すごいな、石原シンタロウ。28歳まで伸びてたのか。さすがだ。伊達に障子を突き破っちゃいませんな。それ小説だから。




随分と長い事、三島由紀夫は苦手でした。回りくどい文章だし小難しいし。


ある時その話を三島好きの同僚にしたら


「何読んだの」
「『仮面の告白』」
だからだよ

えええ!?


どうやら取っ掛かりが悪かったようです。彼女が言うには『仮面の告白』は三島初心者が最初に読むもんじゃないらしい、かなり読みづらい作品なんだそうで。


てことは、私は高校時代からそれまで、ほぼ『食わず嫌い』だった事になります。なんてもったいない。それから彼女の読書指南に従って半信半疑ながら読み始めてみました。



あらやだ、面白いじゃないのさ。



全然難しくない。つるつる読める。なんだったんだ、イライラしつつ所々でエンスト起こしながらなんとか読み通したあの夏休みは。確かにこちらも大人になり意識や考え方も変化している。そういった影響もあるかもしれない。しかしそれにしても面白い。そりゃ『三島論』だのなんだの語られるわけだ。なんだ、損してたなあ。
たった一作の印象で判断しちゃあいけません。いいお勉強でした。何年も前のお話。
現在、新潮文庫版は無事読破しています。


多分そういう『食わず嫌い』はまだまだたくさんあると思うのです。一作読んで苦手意識を持ってしまって、他の作品がどんなに評判を呼んでいようと読もうと思わない。もしかしたら自分の好みの物語だったのかも知れないのに、みすみす見逃してしまっている。もったいないことだよなあ、と最近思うようになりました。本読みの方々に評価の高い著名な作家のものも、『先入観』で結構読んでいないのです。


とりあえず『山田詠美』を克服してみようかな、と。高校時代に『放課後の音符』が発売され、話題になっていたのでとりあえず読んだのですが、どうにも気が合わず*1それ以来彼女の小説は読んでいないのです。エッセイの『熱血ポンちゃん』シリーズは好きなんだけど。
まずは何だろ。『ぼくは勉強ができない』(新潮社)あたりからかなあ。やたらに評判良かったよなあ、これ。

*1:行間が空いているのもイヤだった。紙がもったいなくて。今にして思うと小説の「空気」を上手く表現した『余白の美』だと思うが、当時の私は2段組で活字がびっしり詰め込まれている小説が好きだったのだ。