本の探偵


「本の探偵」といえるほどの商品知識があったらいいなあ、と思います。お客様に聞かれたらどんなに少ない情報でも即座に出版社・著者・店在庫・絶版かどうか・出版社在庫があるかどうか。答えられたらかっこいいですよねえ。
はるか昔に読んだことがあって、また読みたいんだけどもうタイトルとか忘れちゃって、手がかりは大まかなストーリーとかかすかに覚えている短い文章だけだったら。自分ひとりでは探しようが無いけれど、「本の探偵」にかかれば一発で解決です。なんていうタイトルか・出版社はどこか・現在手に入れることが出来るのか。



実際そういう探し物を見つけ出してくれる所はわりとあって、私も以前某書評誌のサイトで相談したら、断片的なストーリーしか覚えて無いのにもかかわらず直ぐにお答えが返ってきて感激したことがあります(そのときお答え下さったのは翻訳家の大森望さんで、私はこの方のファンなので指先が震えるほど嬉しかった)。本自体は既に絶版で入手不可能だったのですが。地道に古本屋まわっています。



以前働いていた書店で、特定の出版社だけなのですが脳内に完璧なデータベースを持っている方がいらっしゃいました。ハー○クインなんですが。
タイトルを言うと「それ○年前に絶版」とか「それは○番で○年○月の新刊」「○○シリーズで著者は○○」「もう直ぐ復刻するはずだから予約OK」等もう完璧。仮に出版社から情報得ていたとしても、それを全て脳に叩き込むのは大変な事です。しかも新刊だけじゃなく旧刊のデータは長年の蓄積しかない。

退職してもう数年経ってますが、今でも問い合わせを受けた時、時々思い出します。あの人ならPCなど使わずに瞬時に答えをだせるんだろうなあ、と。今はPCがあるから職人的な技能をもった店員が少なくなっているのかも知れません。実際パソコンが導入されて作業自体はすごくラクになったんですけどね。自分で実際に触った本は忘れないんですが、それ以外の本はちょっと頭に叩き込めないし。



でもやっぱり膨大な知識を持った「本の探偵」にあこがれます。ただこの探偵、欠点がありまして。わずかな資料での「検索」は出来るけど、ブツを持って来てはくれないのね。意外と役立たず。