松子

嫌われ松子の一生」(上下巻/山田宗樹著/幻冬舎文庫)が映画化されることは知っていましたが、中谷美紀ときたか。美しい松子ですね。甥とか、松子の元カレとか誰がやるんだろう。若い頃の松子は美しいからいいけど、年取った松子もそのままやるのかな。なんとなく寺島しのぶとかがやりそうな気がしていたのですが。(渡辺えり子でもいいかも。舞台でセーラー服姿を披露したことがあるくらいだからね!)


この「嫌われ松子」。内容はというと、波乱万丈な人生を歩んだ上に惨殺される女性の一生を、謎を探る縁者の大学生の目と、松子本人の目の、二つの視点から追っていく。というもの。説明すごい大雑把ですが。
読んでてすごくイライラしました。面白かったんですよ。読んでてイライラしたり、つまんなかったら途中で読むのやめてしまったりすることもあるんですが、これは最後まで一気に読んだ。その上で松子に腹が立った訳です。気がついたらめちゃめちゃ感情移入していたのですね。
普段からわりと登場人物に感情移入して読む方なのですが、なんかもう松子の人生の選択が!本気で腹が立つ。なんでじゃあ!いくつか選択肢があったら一番悪いモノを選択していくのですよ、無意識に(いや、本人もかすかに望んでいるのかもしれんが)。自分のせいではなく、やむを得ず選択する事もあるのですが、よく考えると自分が蒔いた種であったりするし。
これが作為的に、最悪の選択をしていくのが、舞台ですが長塚圭史演出の「真夏のビッチ」なんじゃないだろうか。方向性は全く違うけど、どっちも「ある意味」ハッピーエンドだし。
「何も考えないで済む」「不幸せな自分に酔う」という自己満足。
でもね、嫌いになれないんですよ。あまりも純粋に人を好きになりすぎるところが。胃の腑をかきむしられるようだ。そしてとてもしたたかで打たれづよい。もしかして自分の中のどこかに松子的なところがあるのかもしれない。そしてそう思った人が多いから、あちこちで論議の対象にになったのかもしれません。




読了後、周りの人たちに押し付けまくった。感想が聞きたくて。本を読んでこんなに人に薦めたことは無いです。感想はみんな一様に「松子〜!!!」でしたが。男性に読ませたらどんな感想を持つのだろうか。


そういえばこれ、「ミステリ」とか書かれてましたが、どこかミステリ的なところ、あったか?







あと気になってるのは乙一の「暗いところで待ち合わせ」(幻冬舎文庫)のキャストかな。乙一の作品の中で一番好きなので気になる。ストーブのシーンとか、窓の開け閉めのシーン、あとモノが落ちてくる所とか好きだ。どうやってやるんだろう。女性視点の方。