復刻


「小さなスナック」親本も持ってるけど、文庫も購入。リリー・フランキーのナンシーへの追悼文が素晴らしい。親本で読んだときは涙がこみ上げてきた。嵐山光三郎の「追悼の達人」(新潮文庫)に加えてはどうか。文庫版の後書きも良かった。油断して読んでたので最後の一行で素で吹き出しましたが。


「ヨーロッパ退屈日記」私大変不勉強で、伊丹氏の文章を読んだのはこれが初めてなんですが、ちょっと意外な文体でした。私が勝手に文体を予想していただけの事なのですが。もっと「無頼」かもしくは理論で攻めてくるのかと思ってた。
なんだろう、昭和軽薄体と呼ばれていた文体から「軽薄」を抜いて「皮肉」を入れた感じ?椎名誠が時々こういう文体で書く事があるけど。うーん、阿川弘之の「期せずして屁理屈ばっかり言ってる、本人自覚なしの笑えるエッセイ」(意味不明)の文体にも近いような。「食味風々録」(新潮文庫)とか。あと遠藤周作の「狐狸庵」シリーズとかか。第三の新人系?微妙に違うかなあ。ちょっぴり夢野久作テイストも(内容じゃなくてね)。これを極端に過剰にしたら町田康に行くかな?どれも違う気がしてきた(←おい)。随筆とか身辺雑記ではなくはっきり「エッセイ」ですね。
初出1961年か。これが出版されたときは結構影響大きかったのではないだろうか。かっこいいもん。そして面白い。どこから読んでもわりと大丈夫そうなので、帰りの車の中で、信号待ちの最中に所々読みながら帰って来ました。

こういうとき電車通勤の方がうらやましい。普段は車の方が、大声で歌いながら(歌いませんか?)運転してもだれも文句言わないからいいや、渋滞あるけどラッシュ無いし。と思ってるんですが、一刻も早く読みたい本があるとねえ。いいなあ、電車。目黒孝二が「発作的座談会」(本の雑誌社/角川文庫)の中で「早く読みたくて手近な喫茶店に飛び込んで読みふける事はないか?」というような事を話していたと思うのですが、茶店すら存在しないほどの田舎なので、そんなかっこいい手段は使えないのです。当然青になったのに気づかずクラクションならされるハメになりますが、後続の車の事など知った事かい。私は本が読みたいんじゃ。
まだ当然全部読んでないのですが、文章がこちらの読むリズムと合っているので私にとっては大変読みやすい(クセはある)。旅&食べ物の話が好きな人は面白いんじゃないでしょうか。固有名詞とかがやはり古かったりするのですが(「アーティチョーク」が「アーティショー」になってたり。発音的には合ってるのかもしれないけど、今あまり使いませんよね?)。

タンポポ」と「お葬式」しか観てなくて済みませんでした。「マルサ」もいつか観ようと思います。同時発売の「女たちよ!」と「問いつめられたパパとママの本」も購入待機リストに入れさせていただきます。

それからお怪我されたとき、テレビに映った姿を見て「メロンみたい」と思った事を、ここに謝罪致します。ごめんなさい。



ナンシー関も、伊丹十三も、もう届かない人なんですねえ。