わかるか
内容のみを覚えていて、タイトルを覚えていらっしゃらない方がかなりの確率でいらっしゃいます。大抵は「ラジオで今やっていた」とか、「テレビで紹介されていた」というパターンです。そういう場合は、他に何か手がかりは無いか、なるべく聞き出します。著者名の一部だとか、タイトルの一部だとか。多少手がかりがあるだけでずいぶんと探しやすくなるものです。
電話でのお客さま
「なんかあのー、下のほうが黒でー。若い男の人が出てるやつ」
「いつ頃ご覧になりましたか?(新刊だったらまだ『黒い帯』もしくは『黒い表紙』で探す事が出来るかもしれない)」
「ちょっと前?」
お客さまの「ちょっと前」と店員の「ちょっと前」は認識がかなり違います。お尋ねの本は、おそらくここ一ヶ月の発売ではない。
「何か他に覚えている事ございますか?タイトルの一部ですとか・・・」
「タイトルって、何?」
新 し い・・・!!!
さすがにこのパターンは初めてだ!
「本の書名なんですが、なんという名前の本か、ちょっとでも覚えてらっしゃいませんか」
「書名?書名って、何のことを言うの?どういうの??」
「(どう説明していいのやら)あのー、たとえば浅田次郎だったら『鉄道員』ですとか、司馬遼太郎だったら『燃えよ剣』ですとか、その本の題名なんですけど」
「題名?・・・何の事をいってるのかしら・・・」
私が聞きたいわ。
もしやからかわれているのではないかと思ったのですが、どうにもこうにもご本人は真剣です。
さんざん推理力を行使して、おそらく重松清の『流星ワゴン』(講談社)ではないかと判明。『ちょっと前の本』ではぜんっぜん無いのですが、平積みにしていた時期があるのでそれをご覧になったのではないかと推測。半年くらい前だけど。
声の感じだと40代くらいの女性だったのですが、普段あまり本読まない方だと、『タイトル』『題名』という言葉はわからないんでそんなわけあるかー!!
なんかな、世の中いろんなモノが欠落していってる気がするな。
今日の若人。
やはり電話でのお問い合わせ。
「『バレーボールおっぱい』ってありますか」
「『おっぱいバレー』ではないでしょうか。在庫ございますので、お取り置きしておきしょうか?」
「おっぱいは・・・どのくらいのおっぱいですか・・?」
ああ、『おっぱい』って言わせたいだけなんだなー。
「ワタクシも読んでおりませんので詳しくはわかりませんが、表紙を見ると、胸の位置にバレーボール二つ突っ込んで、おっぱいにしてますね」
電話切られた。