集英社 ナツイチ

集英社『ナツイチ』
昨年のイメージキャラクターは佐藤隆太でしたが、今年は蒼井優です。なんか集英社命がけで『ハチクロ』プッシュしてますね。



他社の100冊だと『2冊買って、応募券を送るとステキグッズプレゼント』ですが、昨年の『抽選5000名に佐藤隆太オリジナル図書カード』が、実際の投資金額はともかくあまりにも『お得感』が少ないと悟ったのか、今年は『対象商品お買い上げの方1冊につき1つ・ナツイチオリジナルブックマークプレゼント』です。おみくじつきで、店頭でもらえます。『ナツイチオリジナルバージョン』『蒼井優バージョン』『ハチクロバージョン』で、合計10種類あるようです。
えーとね、せっかく作ってくれてんのに言いたかないんですけどね。この形のブックマーク、本が傷む。なんつうの、プラスティックで出来た単純なゼムクリップ?(使用法がね)これ痕が付くんだよ!本がヨレるんだよ!そしてすぐ外れちゃうんだよ!可愛いんだけどさ!しかもすっごい余ってんですけど。本に対して送ってくるの多くないか?


さて、今年のラインナップ。コバルト文庫が入ってます。ハチクロラブ★コンですが。ここで便乗して売らないとねえ。確かに直ぐに売り切れました。予想ではハチクロの方が早く売れるかな、と思ってたんですが、ラブ★コンのほうが売れてます。へえ。私ラブコン読んでないんでわからないんですが、ハチクロを凌ぐ面白さなんでしょうか。それとも映画の出来が良いのでしょうか。個人的には意外で面白い結果です。100冊はどの出版社でも意外な書名が売れてて楽しい。
今期のナツイチ、今現在、意外な売り上げ当店ナンバー1は『いちご同盟』(三田誠広)です。ちょっとびっくりしませんか?去年ぜんっぜん売れなかったのに。表紙が変わったから手に取りやすくなったんでしょうか。今の中高生にはどう読まれてるんでしょう。あ、ちょっと『世界の中心で〜』と似たところがあるのかな。いやそれはどうか。誰でも通る道なんでしょうねえ。どこからか甘酸っぱい香りが。




昨年から引き続きエントリーされているのは以下


あふれた愛(天童荒太) R.P.G(宮部みゆき) 暗黒童話(乙一) いちご同盟三田誠広) エミリー(嶽本のばら) エンジェル(石田衣良) 泳ぐのに安全でも適切でもありません(江国香織) 岳物語椎名誠) 肩越しの恋人(唯川恵) キスまでの距離(村山由佳) 救命センターからの手紙(浜辺祐一) 救命センター当直日誌(浜辺祐一) 行動することが生きることである(宇野千代) こころ(夏目漱石) こちら救命センター(浜辺祐一) コンビニ・ララバイ(池永陽) 69(村上龍) 嫉妬の香り辻仁成) 娼年石田衣良) ジョッキー(松樹剛史) スロー・グッドバイ(石田衣良) ダ・ヴィンチ・レガシー(ルイス・パーデュー) 谷川俊太郎詩集1(谷川俊太郎) 天使の卵村山由佳) 東京物語奥田英朗) 夏と花火と私の死体(乙一) 人間失格太宰治) ネバーランド恩田陸) 薔薇の木枇杷の木檸檬の木(江国香織) 光の帝国(恩田陸) プリズン・ホテル(夏のみ)(浅田次郎) 分身(東野圭吾) 鉄道員浅田次郎) まるこだった(さくらももこ) 



87点中34点。


このうち3年連続エントリーは



『R.P.G』『暗黒童話』『いちご同盟』『エンジェル』『救命センターからの手紙』『行動することが生きることである』『こころ』『こちら救命センター』『69』『嫉妬の香り』『夏と花火と私の死体』『人間失格』『ネバーランド』『薔薇の木枇杷の木檸檬の木』『光の帝国』『分身』『鉄道員


の17点でした。なるほどねえ、といったラインナップ。さすがに3年連続だと少ないですね。






今年は石田衣良率が高いのが目立ちます。昨年は東野圭吾がダントツトップだったんですが。今年新たに入ったのも含めると、『プリズン・ホテル』の4冊と『鉄道員』が入っている浅田次郎が一番多いんですけどね。ただやっぱり『同じ作家の作品』が多い。これを出版社独自の個性と見るか、『手薄なのに良く頑張ったね』と見るか。『古典が少ない』のは個性と見るべきでしょうね。『地獄変』と『こころ』くらいです。見事。勝負できないですもんね。あっさり捨てて正解でしょう。



今年新たに入ったのが結構面白いです。昨年ちょっと集英社見離しかけたのですが(おい)、今年はなんとなく、「冒険したのかな」と思える感じ。
中島らもの『ガダラの豚』はちょっと驚きました。あと辛酸なめ子。入れますか100冊に。野中柊の『小春日和』は個人的に嬉しかった。この人の文章のリズム感が好きなのだ。



しかし毎年思うのですが、集英社インパクト弱い。


2004年の集英社の説明会で「今年のナツイチは思い切って、大幅に見直します。毎年必ず入っていた『岳物語』を今回外しました。対象をもっと若年層に絞ります」と云うような事を言っていたので、ああそうか、と思っていたら、次の年(2005年)にあっさり岳物語復活。その頃から延々ともがき続けている印象を受けます。今年は少々落ち着いてるようですが。


『お殿様』新潮社と、『力技』角川に対抗するのには何を軸に持って来たらよいのやら。他人事ながら心配になってしまいます。悪いラインナップじゃ無いんですけどねえ。どうしてこう印象が弱いんだろう。今年多少なりとも安定性が見えるのはひとえに羽海野チカのおかげでしょう。集英社の担当者は足向けて寝たらいけません。



ま、今年の功績は読者プレゼントが『全プレ』になった。ということでしょうか。なんだそのオチ。