米原万里さんが

スパイラルの『Sellout』がDVDで出るってホントッすか!?え!?なんで今頃!?
ななななんのCDがつくの!?(動揺)





ロシア語通訳者の米原万里さんがお亡くなりになったそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060529-00000010-ykf-ent


この方の文章の『食べ物の描写』がとても好きでした。ご本人が『食べること』がお好きだったんでしょう。ノードリンクでパサパサのサンドイッチを綺麗にたいらげられる『ツバキ姫』の異名もお持ちでらっしゃったようですし。


『食べ物(味)の表現が上手い人は、文章が上手な人』という印象があります。個人的に、なのですが。
「美味しそう」だと思う文章は比較的沢山あるのですが、「腹減ったよこのやろう」とまで思う文章って、意外と少ないんですよ(東海林さだお富士山測候所として考えていただければ幸いです。宝永山のあたりで森茉莉が手を振っています)。『経験』はもとより、『語彙』と『冷静な視点』それに『遊び心』が無いと、『形の無いもの』を表現することは難しい。米原さんのそれは、とても的確でした。


このブログのどこかで書いたかとも思うのですが、『旅行者の朝食』(文春文庫)に登場した『ハルヴァ』にまつわる文章なんてもう。死ぬほど食べたくなります。この『ハルヴァ』から『トルコ蜜飴*1』に至るお話を、映画『ナルニア国物語』を見た後つい思い出してしまって、悶絶しました。


もちろん、プラハで過ごした幼少時代を皮切りに豊富な海外生活経験を生かした比較文化論や、通訳としての経験を綴ったエッセイ、私小説も抜群に面白かったんですが(『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(文春文庫)!読むべし!)、私は、東海林さだお『まるかじり』シリーズのあとがき(シリーズ多すぎて確認断念)で「海外にいる時この本読むのは拷問だ!」と微妙に逆ギレしていた米原さんの食べ物にかける情熱が好きでした。



ご冥福をお祈りします。とてもとても、残念。

*1:ターキッシュ・ディライト/次男が女王に魂売るほど固執したお菓子ですね。