つづきは?

小学生くらいの男の子。手には持参の本を持っています。外国の児童小説です。



「これの続きが欲しいんですけど」
「ちょっと検索してみますね・・・・この続きは出て無いみたいねえ」
「でもこの本に『続きがある』って書いてあるんですけど」
「ちょっと見せてもらっていいかな?」


翻訳小説の場合、次巻の情報は訳者後書きに書いてあることが多いですね。『尚、これはシリーズとして本国では現在○巻まで刊行されています〜以下翻訳中です』とか。
この本もその類で、本国では出版されているものの未訳なのかもしれない、と思ったのです。



「後書きに載ってないねえ。どこに書いてあるの?」
「後書きじゃなくて・・・ここのところ」





大きな冒険を終えた主人公が、また新たな冒険へと旅立っていく幕切れ。


そういった児童小説やファンタジーには決まったパターンを踏襲しているものが多々あります。



この後○○はまた旅に出て、面白い体験をするのですがそれはまたべつのおはなし。


このパターンだったか・・・。



『べつのおはなし』と書いてあるからといって、その『べつのおはなし』を作者が書いているかと言ったら、必ずしもそうじゃない。余韻を持たせて、読者を空想に遊ばせる目的だという事もある。答えを提示されるよりもそのほうがずっと楽しい場合もありますよね。


しかし、とてもとても面白くて、主人公と自分が一緒になっちゃってたら、そして『べつのおはなし』があるかもしれないと匂わせられたら、是が非でも、読みたくなっちゃうよなあ。なんて罪な話だ。



ああ、かわいいなあ、この子。



一応出版社にも確認。やはり、一巻完結との事。

「これねえ、『べつのおはなし』出てないんだよ、ごめんね」
「いつ出ますか」



そいつぁおばちゃんわかんねえな。



「ちょっとねえ、わかんないねえ。これを書いている人が書いてくれたら、出ると思うんだけど、待ってるしかないかなあ。作者の人にお手紙書いてみたらどうかな?」
「うん」



面白い本だったんだね。もう随分とそんな経験が無いから、ちょっとうらやましいよ。そんなに本に夢中になってくれてとても嬉しい。作者も嬉しいと思うよ。ありがとう。



頑張れ少年。キミの英文レターに続きの誕生がかかっているぞ!