そんなあ。
「タナカショウヘイの本どこ?」
「タナカショウヘイですね。検索いたしますので少々お待ちいただけますか?」
「その著者名だと該当が出ませんね。タイトル等お分かりでしょうか」
「なんだっていいだよ。にゃあわけにゃあら(無いわけ無いだろう)。人気あるらに。」
「・・・どなたかがその方の本をお持ちだったんでしょうか」
「みんな持ってるさや。知らにゃあ?本屋のくせに。たんぼの田に中。正しいに平だよ。」
だんだんいらだって大声になって行きます。まわりのお客様も注目し始めました。しかしどう検索しても見つかりません。
「どういった本をお書きになってるか、覚えてらっしゃいますでしょうか」
「時代劇だよ、脚本家だってよ。こないだ映画やってたらに」
時代劇・脚本家・映画
まさかなあ。脚本というより原作だしなあ。
「お客様、『田中正平』ですよね。『藤沢周平』ではないですよね」
「それそれ、どこだい」
ええええええええええええええ?!
その後レジにいらっしゃったお客様たちが、皆さんこころなしか優しかったです。