大安吉日

上から人が降ってきた経験はおありでしょうか。私はあります。しかも2度。


1つは7歳の頃。近所の小さな滝の上(名称が解らないのですが、滝壺の方ではない、川から滝として落ちる寸前の所)で遊んでいたところ、ちいさな物体が突然落ちてきました。その物体は四つんばいになったままピクリともしません。ぽかんとしてぼんやり見てたらじわじわと泣き始めました。当時3歳の私のきょうだいでした。

友だちと二人で遊びに行く途中だったのですが、当時いつでもどこでも私の後を着いて来たがっていたきょうだいは、その日もぱたぱたと着いて来てしまいました。
滝に着き、それでも滝で遊ぶのは小さい子には危険だという認識があったので、きょうだいを、上を通る橋に置いて「あぶないから下にきちゃだめだよ」と言い聞かせ、私たちは呑気に遊んでいたのです。今考えると3歳の子を1人で置いとく方がよっぽど危ないと思うのですが。当時も今も判断力が無いと言うのがこの一件でわかります。
その滝は滝壺まで5メートルほどの高さがあり、水量が少ない分岩がごつごつと突き出ていて、うっかり足を滑らせると確実に命を落とすであろう、デンジャラスゾーンだったのですが、昔は今のように『危険だから有刺鉄線を張っておこう』とか、『立ち入り禁止にしよう』などという事もなく、よく言えば『子どもの自主性に任せる』悪く言うと『うっちゃらかし』という大変呑気な時代背景により、近所の子どもの恰好の遊び場になっていました。


多分退屈になったのでしょう。そしてちいさい子は危険な事が大好きです。橋のガードレールの内側(滝側)を伝って一人遊びを始めたものと思われます。そして手と足を滑らせた。

ガードレールから川まで高さはおそらく2メートルほど。身長が1メートルに満たない子どもには大変な高さです。そして、私たちが遊んでいた場所から滝まで1、2メートル。ちょっと勢いがついていたら、滝壺までまっさかさまになっていたところです。

一緒にいた友だちにきょうだいを任せ、私はあわてて母を呼びに走りました。ここから私の記憶はぷっつりと切れています。ただ、母がはだしで飛び出して行ったのは鮮明に覚えています。

医者が言う事には「1センチずれていたら命が無かった」らしかったのですが、幸い、後頭部に2センチほどの傷とタンコブがついたくらいで命に別状は無く、滝へ入る道に有刺鉄線が張られ遊び場が1つ減る、という結果を残して、私自身は一回も怒られる事も無くこの出来事は終了しました。



2回目は中学2年生の体育祭です。グラウンドの隅の方を歩いていた私の耳に『ドサッ』という音が聞こえました。私のきょうだいがあきらかに高いところから落ちて、うめいています。


腕から骨が見えました。


近くにいた子が先生を呼んでくれ、きょうだいと、体育祭を見に来ていた母が救急車で運ばれていきました。

当時小学生だったきょうだいは、もっとよくグラウンドの様子を見たい、と思い、電信柱によじ登って足を滑らせたとの事でした。
直ぐに処置をしたおかげで、腕の機能に支障は無かったのですが、いまでも二の腕に大きく深く抉れた後が残っています。


しみじみ思いますが、ホントにバカだこいつ。怪我するんなら私のいないところで怪我してくれれば良いのに。いつも心臓が止まりそうになる。



無事に育って本当に良かった。
今日は私のきょうだいの結婚式でした。


どうでもいいですが、150人のお酌をして回らなければならなかったのは、嫁に行かない罰ゲームですか。