おめでとう
13歳の頃からの友人が、2ヶ月ぶりに会いに来ました。
「ひさしぶり〜。どうしたの」
「ちょっと話があってさあ」
「夏の旅行の話?お土産は買ってくるよ」
「いや、端的に言うと、あたし結婚したんだわ」
は?
「・・・・いつ?」
「昨日」
「・・・式挙げたの?」
「いや、入籍だけ。びっくりした?」
す る わ そ り ゃ あ!!
この状況でびっくりしないヤツがいたらお目にかかりたいわ。
「あんた彼氏いたっけ」
「それがさあ、まだ4回しか会ってなくて」
なんじゃあ、そりゃあ。
「4回?・・・いつ知り合ったの」
「5月。あ、それから、今度アメリカに行く事になったさ、向こうが転勤で」
たたみかけるように衝撃発言が飛び出てきます。
「・・・いつ・・・」
「12月。新婚旅行行ってそのまま向こうへ。でも彼は8月からもう行くさぁ」
「英語できたっけ?」
「出来ないよ。彼も出来ない。これから教室通おうと思って」
無謀だ。無謀としか言いようが無い。
まあ、何度会ってもダメなものはダメだし、一回会っただけでも波長が合う場合もあるという事は私だってわかります。
結婚はめでたい。しかし彼女には、彼女の半分を占めているといっても過言ではないある趣味があるのだ。
「・・・あんた、自分がオタクだって言った?」
「言ってないに決まってるらに。大丈夫だら。ばれないよ」
「・・・アメリカに同人誌持ってくの?」
「同人誌は持ってかないよ。オフラインはもうやめる。オンライン同人は続けるけどね〜。で、相談なんだけど、夏コミ、売り子してくんない?スペース取れたし、新刊入稿しちゃってあってさあ。あとアタシが渡米した後、通販の処理なんてやってくれないよねえ?」
言 う べ き 事 は そ れ だ け か!!!
ていうか、オンラインは続けるんかい。いや、問題はそこじゃないよ!
なんというか、友人知人が結婚する、と聞くと、なんとなくどこか寂しい気持ちになるものなんですよ。あと、多少のやっかみ。しかし、あまりの話の突拍子の無さにさすがに感情がついていきませんでした。終始あっけに取られてしまった。
「Kだけには言っておかないとと思って。他の人には言ってないんだよ〜。時間も無いし」
ありがとう。私はあんたを応援するよ。だてに20年もあんたと付き合ってないよ。あんたは私の大切な友達だよ。
たとえ2ヶ月黙ってたとしてもな。
お願いだから幸せになってください。それから、連絡はつくようにしておいて下さい。
通販はしません。