雪の日

  • 今日の買い物
    • 毎日が大衆芸能 しょの2  高田文夫著 中公文庫
    • ワタシの生活微向上作戦 清水ちなみ著 中公文庫


夕方自宅より会社に電話。
「雪が15センチくらい積もってて、道路も見えなくなってきてるから早引して帰ってらっしゃい」
会社から自宅まで1時間。今現在15センチ。雪は降り続いている。


なんでもっと早く電話してこないのだ、母よ!


ノーマルタイヤで頑張りました。私でなく、車が。



雪が印象的な小説といえば、まず思い浮かぶのがケストナーの「飛ぶ教室」です。実業学校の生徒たちとの雪合戦。敵側のリーダー、エーガーラントのオトコマエなこと!味方の少年たちが約束を違えたとしても、彼だけは凛として、信念を貫き通す。「誇り高い」というのはこういうことなのだと思う。
飛ぶ教室」は大好きな小説のひとつです。前書きから切なくなる。「ふざけた前書きケストナー、ふざけた後書き乙一」といい放った先輩がいましたが。罰当たりな。
この物語は、ケストナー自身が母親に別れを告げ「飛ぶ教室」を書くために山に篭る所から始まります。主人公の一人、両親に捨てられたヨナタンのエピソードから入り、寄宿舎生活を送る少年たちのクリスマス前を包み込むように描いています。頭の良い正義感マルチン、孤独を好むヨナタン、ボクサーで腕っ節の強いマチアス、マチアスの親友で、でも気の弱いウリー、ちょっと変わったセバスチアン。
自分の弱さを克服したい、と無謀な行動に出るウリーやクリスマスに家に帰ることが出来ないとわかり、「泣くこと厳禁!」とたった一人で耐えるマルチンなど、一人ひとりの少年たちが成長し大人に近づいて行く、その過程を大事に救い上げている。


少年たちももちろん魅力的ですが、先生たちの物語も素晴らしいです。少年たちの尊敬している舎監の正義先生と、学校近くの廃車「禁煙車両」に住み着いている禁煙さんの過去の悲しい出来事が、子供たちを媒介にしてやさしく解き放たれて行く様子に、少年の頃に築き上げた友情の切なさと強さを感じます。

ケストナーは本当に子供の心を尊重した作家でした。「エーミールと少年たち」「点子ちゃんとアントン」そして「飛ぶ教室
子供の悲しみは大人よりも軽いなどということは無い、という事を書いた「飛ぶ教室」の前書きは、ぜひ、読まれることをお薦めします。

実は2冊手元にあります。山口四郎訳と高橋健二訳。やはり微妙に違ってて比べると楽しい。禁煙さんがピアノを弾く店の名前が「しゃれこうべ」だったり「最後の骨まで屋」だったりとか。どっちも大好きで、平等にボロボロです。


先年映画化されて、観たのですが、現代に置き換えたために、禁煙さんが姿を消した理由とかが変わってしまって消化不良。劇中劇も特にミュージカルにしなくて良かったのでは。流行の音楽使うと10年後に観たとき恥ずかしいぞ。
映画自体は面白かったんですけど。DVD買ったし。